「換気扇が動かなくなった」「異音がうるさい」といったトラブルに見舞われた際、業者に頼むと費用がかさむため、自分で交換したいと考える方は多いでしょう。ホームセンターやネット通販では新しい換気扇が手軽に購入できますが、実はすべての換気扇が自分で交換できるわけではありません。
結論から言えば、コンセントで繋がっているタイプならDIY可能ですが、配線が直接繋がっているタイプは「電気工事士」の資格が必要です。この記事では、ご自宅の換気扇が自分で交換できるものかどうかを見分ける方法と、安全に交換するための手順、プロに任せるべき境界線を解説します。
結論:コンセントが見えていればDIY可能、配線直結ならプロへ
換気扇の交換を自分で行えるかどうかの最大の判断基準は、「電源プラグ(コンセント)」で接続されているかどうかです。
自分で交換できるケース(コンセント式)
換気扇本体から電源コードが伸びており、壁のコンセントにプラグが差し込まれているタイプです。これは家電製品の買い替えと同じ扱いになるため、資格は不要で誰でも交換できます。主に古い団地のキッチンや、壁付けのプロペラファンによく見られます。
自分で交換できないケース(配線直結式)
電源コードが見当たらず、壁や天井の裏から出ている電線が、直接換気扇本体に繋がっているタイプです。この配線を切り離したり接続したりする作業には、法律で「電気工事士」の国家資格が義務付けられています。無資格での作業は感電や漏電火災のリスクが高く、法律違反となります。
【種類別】自分で交換できるかどうかの見分け方
換気扇のタイプによって、DIYの難易度と可否が異なります。まずはご自宅の換気扇がどのタイプかを確認しましょう。
1. プロペラファン(壁付けタイプ)
扇風機のような羽根が回る、昔ながらのタイプです。
【判定:DIYしやすい】
多くの場合、本体の上部や横にコンセントがあり、プラグが刺さっています。フィルターカバーや枠を外してプラグが見えれば、自分で交換可能です。ただし、稀に壁の中で配線されている直結式もあるため、必ずプラグの有無を目視確認してください。
2. レンジフード(深型・スリム型)
コンロの上を覆う大きなフードの中にファンがあるタイプです。
【判定:条件付きでDIY可能だが難易度高】
前面のパネル(幕板)を外すと、内部にコンセントがあるケースが多いです。プラグがあれば電気工事の資格は不要ですが、本体が非常に重く、壁への固定強度も重要なため、一人での作業は危険です。また、排気ダクトの接続(アルミテープ巻き)を確実に行わないと、排気漏れの原因になります。
3. 天井埋込型(浴室・トイレ・洗面所)
天井に埋め込まれているタイプです。
【判定:基本はプロ推奨】
最近の機種はコンセント接続のものも増えていますが、天井裏での作業が必要になることが多く、配線が直結されているケースも多々あります。また、ダクト接続の不備は天井裏での湿気漏れ(カビ・腐食)に直結するため、電気工事士の資格があっても施工技術が必要です。
自分で交換する手順(プロペラファン・コンセント式の場合)
最もDIYしやすい「壁付けプロペラファン(コンセント式)」の交換手順を紹介します。作業前には必ず換気扇のスイッチを切り、ブレーカーを落としておくとより安全です。
STEP 1:既存の換気扇のサイズと型番を確認
まずは新しい換気扇を購入するために、サイズを測ります。重要なのは「羽根の直径(20cmか25cmが主流)」と「埋込寸法(壁の穴のサイズ)」です。本体に貼ってあるシールで型番を確認し、同じメーカーの後継機種を選ぶのが最も確実で失敗がありません。
STEP 2:古い換気扇を取り外す
1. コンセントプラグを抜きます。
2. カバーやフィルターがあれば外します。
3. 本体を固定している上部のネジ(蝶ネジなど手で回せるものが多い)を緩めます。
4. 本体を手前に引いて、壁から取り外します。油で固着している場合は、ドライヤーで温めたり、カッターで周囲のコーキングを切ったりして慎重に外します。
STEP 3:新しい換気扇を取り付ける
1. 壁の穴(木枠)に残った油汚れをきれいに掃除します。
2. 新しい換気扇を枠にはめ込みます。
3. 固定ネジをしっかり締めて固定します。
4. コンセントプラグを差し込みます。
5. 試運転をして、異音がなくスムーズに回れば完了です。
絶対にやってはいけないDIYとリスク
「YouTubeで見たからできそう」「配線を繋ぐだけだから簡単」と安易に考えて、資格が必要な直結式の交換を行うのは絶対にやめてください。
感電・火災のリスク
配線の接続不良(接触不良)は、時間が経ってから発熱し、火災を引き起こす原因になります。また、アース工事が不十分だと、漏電した際に感電する恐れがあります。
保険が適用されない可能性
無資格者のDIYが原因で火災や水漏れ事故が起きた場合、火災保険が適用されない可能性があります。数百円〜数千円の工賃を節約した結果、取り返しのつかない損害を被ることになりかねません。
| 比較項目 | 自分で交換(DIY) | 業者に依頼 |
|---|---|---|
| 費用目安 | 本体代のみ(数千円〜) | 本体代 + 工賃(1.5万〜4万円程度) |
| 必要な資格 | コンセント式なら不要 直結式は不可(違法) |
電気工事士(プロが対応) |
| メリット | とにかく安く済む | 安全・確実・廃棄処分も任せられる |
| デメリット | サイズ選定ミス、施工不良のリスク 古い本体の処分が必要 |
費用がかかる 日程調整が必要 |
よくある質問(FAQ)
Q1. 賃貸アパートの換気扇を自分で交換してもいいですか?
A. 原則としてNGです。換気扇は建物の設備であり、大家さんや管理会社の所有物です。勝手に交換すると退去時にトラブルになる可能性があります。故障した場合は、まず管理会社へ連絡し、修理・交換を依頼してください(経年劣化なら貸主負担が一般的です)。
Q2. 浴室の換気扇交換は難しいですか?
A. はい、難易度は高いです。浴室用は天井裏でのダクト接続や配線作業が必要なケースが多く、湿気対策も重要です。また、浴室暖房乾燥機の場合は専用の電源回路が必要になるため、プロへの依頼を強くおすすめします。
Q3. 換気扇のサイズを測り間違えたらどうなりますか?
A. 取り付けできません。特に埋込寸法(壁の穴の大きさ)が数ミリでも違うと入らなかったり、隙間ができたりします。不安な場合は、既存の換気扇の型番を検索して仕様書を確認するか、業者に現地調査を依頼しましょう。
Q4. 古い換気扇はどうやって捨てればいいですか?
A. 自治体のルールに従って処分します。多くの自治体では「不燃ゴミ」または「粗大ゴミ」に分類されます。サイズ(30cm以上など)によって区分が変わることがあるため、お住まいの地域のゴミ出しルールを確認してください。
Q5. 業者に頼む場合、どこに連絡すればいいですか?
A. 近所の電気屋さん、ホームセンターのリフォームカウンター、または換気扇メーカーの認定店などが安心です。「電気工事士」の資格を持っている業者であることを確認しましょう。
まとめ
換気扇の交換を自分で行うことは、コスト削減の有効な手段ですが、安全に行うためには正しい判断が必要です。
- コンセントプラグが見える場合:DIY可能。サイズと型番をしっかり確認して交換しましょう。
- 配線が直結している場合:DIY禁止。必ず電気工事士の資格を持つ業者へ依頼してください。
- 賃貸の場合:自分で判断せず、まずは管理会社へ連絡しましょう。
無理をして自分で交換しようとすると、感電や火災といった重大な事故につながる恐れがあります。「配線を触る必要があるかどうか」を境界線として、安全第一で判断してください。
