「部屋の壁にエアコンを取り付けるスペースがない」「吹き抜け天井で暖かい空気が逃げてしまい、冬場は足元が冷えて辛い」といった悩みをお持ちではありませんか?
一般的な壁掛けエアコンが設置できない場合や、暖房効率を重視したい場合に有力な選択肢となるのが「床置きエアコン」です。ヒーターのように床近くに設置することで、冷えやすい足元をダイレクトに暖められるのが最大の特徴ですが、壁掛けタイプに比べると馴染みが薄く、導入に踏み切れない方も多いはずです。
この記事では、床置きエアコンの特徴やメリット・デメリット、導入にかかる費用の相場について詳しく解説します。ご自宅の環境に床置きタイプが適しているかどうかの判断材料としてお役立てください。
結論:暖房重視なら「床置き」は快適。ただしコストとスペースに注意
結論から言うと、床置きエアコンは「冬の寒さが苦手な人」や「壁の強度が不足している部屋」にとって、非常に満足度の高い選択肢です。
暖かい空気は上昇する性質があるため、天井付近にある壁掛けエアコンよりも、床付近から温風を吹き出す床置きエアコンの方が、理にかなった暖房効果を発揮します。まるで床暖房やファンヒーターのような快適さを得られます。
一方で、本体価格が高めであることや、床のスペースを占有するため家具の配置に制限が出ることがデメリットです。「とにかく安く設置したい」という場合や、「床を広く使いたい」という場合には不向きと言えます。
床置きエアコンとは?壁掛けタイプとの決定的な違い
床置きエアコンは、その名の通り室内機を床(または床に近い低い位置の壁)に設置するタイプのエアコンです。壁掛けタイプと比較して、以下の3つの点で大きく異なります。
1. 気流の吹き出し口が低い
最大の特徴は、温風や冷風が低い位置から出ることです。特に暖房時は、冷えやすい足元へダイレクトに温風を届けることができます。多くの機種は、上方向と下方向の2方向から気流を出す「ダブルフロー」機能を搭載しており、部屋全体を包み込むように空調します。
2. 設置場所の自由度
壁掛けエアコンは高い位置に設置スペースが必要ですが、床置きエアコンは窓の下の壁や、階段下のデッドスペースなど、低い位置に設置できます。和室の床の間や、勾配天井(斜めの天井)で壁の高さが足りない部屋にも適しています。
3. 手入れのしやすさ
本体が手の届く位置にあるため、脚立を使わずにフィルター掃除ができます。高齢の方や、高い場所での作業が不安な方にとっては、日常のメンテナンスが非常に楽になるというメリットがあります。
メリット・デメリットの比較
導入を検討する際は、良い面だけでなく注意点もしっかり把握しておく必要があります。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 快適性 | 足元から暖まるため、冬場の快適性が高い。 夏場も上方向への気流で冷えすぎを防げる。 |
家具やソファで吹き出し口を塞ぐと効きが悪くなる。 冷房時は冷たい空気が下に溜まりやすい(サーキュレーター併用推奨)。 |
| 設置・外観 | 壁面がスッキリする。 窓下などの空きスペースを有効活用できる。 |
床の設置スペース(奥行き20cm程度〜)が必要。 コンセントや配管穴の位置が低い必要がある。 |
| コスト | 特になし(機能面でのコスパは良い)。 | 生産台数が少ないため、本体価格が割高。 工事費も特殊作業として追加費用がかかる場合がある。 |
導入にかかる費用相場と注意点
床置きエアコンは「ハウジングエアコン」というカテゴリーに分類されることが多く、家電量販店の店頭にはあまり並んでいません。ネット通販や設備業者を通じて購入するのが一般的です。
本体価格の目安
一般的な壁掛けエアコン(6畳〜10畳用)が5万〜10万円程度で購入できるのに対し、床置きエアコンは同等の能力でも15万〜25万円程度が相場です。ラインナップも少なく、ダイキン、三菱電機、パナソニック、日立などの主要メーカーに限られます。
工事費の目安
標準的な設置工事費は2万〜4万円程度です。ただし、以下の場合は追加費用が発生します。
- 配管穴の新規開口:壁の下の方に穴がない場合、新たに開ける必要があります。
- 電源工事:床置きエアコンの多くは200V電源を使用するため、電圧切替やコンセント交換が必要になるケースが多いです。
- 隠蔽配管:壁の中に配管を通す場合、高度な技術が必要となり費用が上がります。
導入前に確認すべきチェックポイント
購入してから「置けなかった」とならないよう、以下の点を確認してください。
1. 家具の配置計画
エアコンの前面や側面に家具を置くと、気流が遮られて冷暖房効率が極端に落ちます。また、ショートサーキット(吹き出した空気をすぐに吸い込んでしまい、部屋が冷えた/暖まったと誤検知して運転を弱める現象)の原因にもなります。周囲に十分なスペースを確保できるか確認しましょう。
2. 小さな子供やペットへの配慮
吹き出し口が低い位置にあるため、ハイハイをする赤ちゃんやペットが近づきやすい環境になります。温風による低温やけどや、指の巻き込み事故を防ぐため、ガードを設置するなどの対策が必要になる場合があります。
3. 室外機までのルート
室内機が床付近にあるため、配管穴も低い位置に開けるのが一般的です。外壁のその位置に室外機を置けるスペースがあるか、あるいは配管を立ち上げて高い位置から出す必要があるかなど、室外機との接続ルートを確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「窓用エアコン」とは違うのですか?
A. 全く別物です。窓用エアコン(ウインドエアコン)は室外機と一体型で窓枠にはめ込む簡易的な冷房機器(一部暖房あり)ですが、床置きエアコンは室外機が別にある本格的なセパレート型エアコンです。能力や静音性は床置きエアコンの方が圧倒的に優れています。
Q2. 賃貸住宅でも設置できますか?
A. 賃貸物件には元々壁掛け用の配管穴が高い位置に開いていることが多く、床置き用の穴を低い位置に新たに開けるのは難しい(許可が下りない)ケースがほとんどです。既存の穴まで配管を長く伸ばせば設置可能ですが、見た目が悪くなる可能性があります。
Q3. 掃除は壁掛けより簡単ですか?
A. はい、非常に簡単です。脚立に乗る必要がなく、立ったまま、あるいは座ったままフロントパネルを開けてフィルターを取り出せます。こまめに掃除がしやすいため、清潔な状態を保ちやすいです。
Q4. 寒冷地でも使えますか?
A. はい、使えます。特にダイキンや三菱電機などは、寒冷地仕様(ズバ暖、スゴ暖など)の床置きモデルを販売しています。足元暖房の効果が高いため、寒冷地との相性は非常に良いです。
Q5. 電気代は壁掛けより高いですか?
A. 基本的な省エネ性能(APF)は壁掛けの最新上位モデルに比べると若干劣る場合がありますが、足元を効率よく暖めることで設定温度を抑えられるため、体感的な電気代は大きく変わらないか、暖房時はむしろ効率的になることもあります。
まとめ
床置きエアコンは、壁掛けエアコンが設置できない部屋の救世主であると同時に、冬の足元の冷えを解消する強力な暖房機器でもあります。
本体価格や設置スペースの制約はありますが、ファンヒーターのように場所を取らず、夏は冷房としても使える「一台二役」のメリットは大きいです。特にリフォームや新築時、あるいは和室や吹き抜けリビングへの導入を検討している方には、快適な住環境を作るための賢い選択肢と言えるでしょう。
